【日本の幼児教育】世界と比較してわかった特徴・現状・問題点!

幼児教育
日本の幼児教育ってどうなの?【OECD国際比較調査結果】

予備校で講師&学習アドバイザーをしている冒険者です。教育系ブロガーとして冒険者ブログを運営しています。

冒険者
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講師歴15年以上、小学生から大学受験まで幅広く指導!延べ10000人以上の親や生徒を指導した経験から、教育関連の有益な情報を発信中です!

2020年2月20日(木)に、教育改革国際シンポジウム「幼児教育・保育の国際比較」OECD国際幼児教育・保育従事者調査2018年の結果報告がありました。

OECDとは経済協力開発機構で2020年現在で36か国加盟しています。
>>「OECD」HPリンク

講演は文部科学省で行われ、400名の申し込みがありました。

この調査は日本を含めた9か国(日本、チリ、デンマーク、ドイツ、イスラエル、アイスランド、韓国、ノルウェー、トルコ)を対象とし、保育者の実践の内容や勤務環境、研修の状況などについてのデータを収集したものです。

今回のシンポジウムの発表では日本、ノルウェー、韓国の事例を紹介してくれました。

そのシンポジウムに参加して、日本の幼児教育のあり方が見えてきたと感じました。

そこで・・・

・世界に比べて日本の幼児教育ってどうなの?
・保育士の現状は日本はどうなのか?
・幼児教育の今後の課題や取り組みは?

こんな疑問に対して、僕の意見も含めながらまとめていきます。

>>今回、参加したシンポジウム

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日本の幼児教育 世界との比較

日本の幼児教育を世界と比較する

まずは、日本の幼児教育について世界と比較をしてみましょう。

幼児教育 就園率

世界の国々と日本を比較した場合、就園率はどういう状況なのでしょうか?

・日本:約90%
・イギリス・フランス・イスラエル:ほぼ100%
・OECD平均:約87%

日本の就園率が90%で10人に1人は認可の保育園や幼稚園に通っていないことがわかります。待機児童の問題などもあるかもしれませんね。

世界ではロシア・チリ・ポーランドが就園率がここ10年で大きく改善されていることも報告されました。

世界的に見て就園率は上昇傾向にあるといって良いです!

これは世界の幼児教育水準が高くなっていることが確認された結果です。素晴らしいことですね!

幼児教育 支出の対GDP比率

次に幼児教育にかける支出、つまりお金をどのくらい使っているかをまとめます。

・スウェーデン、アイスランドノルウェー:1%
・OECD平均:0.6%
・日本はランク外

つまり、幼児教育にかけるお金は日本はかなり低いという結果になっています。

ひとつには日本のGDPの高さが言えることですが、それでも低い結果となっています。

逆に北欧は幼児教育にかける支出が高く、保育などに投資していることがわかります!

北欧はやはり幸福度も高い国が多いので、子どもを大切にしていることが要因となっているのかもしれません。

ここで幼児教育への投資が適切に保育の質に反映されているか!?という問題も残っています。

幼児教育・保育のOECDが掲げる5つの柱、これに沿って今後政策を考えていく方針です。

5つの柱
①幼児教育・保育の「基準の設定と管理」
②データ化とモニタリング
③家庭・地域との連携
④国ごとの保育カリキュラムと教育方法
⑤保育者の養成・研修と労働条件

この記事でも後半で書いていますが、「保育者の育成研修と労働条件」が日本の課題だと感じます。質の高い保育をするには、保育者自身のスキルアップが必須ですからね。

幼児教育 社会情緒的発達の重要性

日本の幼児教育の社会的情緒の重要性

ここで、保育者が幼児に対して「質の高い教育を施すためには何が必要なのか」を調査した結果が発表されました。

これは目から鱗の調査結果になっていました。

保育者が幼児において「非常に重要」と答えた能力
1位:他の子どもとうまく協力し合える能力
2位:話し言葉の技能
3位:自身の好奇心からくる探求心

重要ではないと答えた能力
・読み書きの技能
・数遊びから発達する数学的な学力
・情報通信に関する技能

いわゆる、学力に直結するものは幼児教育では重要としていない!ということです。

つまり幼児教育において、保育士が最も重要としているのは「共存」や「共生」であって、いわゆる「学力」的な知識や技能ではないということがわかった。

それは世界で取り入れられる教育メソッドでも教育の概念として取り入れているものです。

例えば、オランダで取り入れられている教育メソッドのイエナプラン教育は、社会性を大変重視しており、「他人を尊重する力」や「社会に対する個人の位置」を明確に子供たちに教えている教育メソッドです。

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日本の幼児教育 保育の特徴

日本の幼児教育 保育の特徴

さて、ここからは日本の保育園、幼稚園の特徴について解説していきます。

幼児教育 保育士が対応できるグループの人数

次に「1クラスの人数」について、世界各国の平均値を見ていきます。

・イスラエル:29人
・日本、チリ:23人
・ノルウェー、韓国など:16人

ここで、ノルウェーの保育士アンケートで気になる回答があるので紹介します。

ノルウェーの保育士がストレスに感じている項目で上位を示しているのが「1クラスの人数が多すぎる」ということ。

日本よりも7人も平均値で少ないのに、1クラスの人数に多すぎるとストレスを感じている保育士が多いのですね!

文化の違いか、一人一人としっかりと見てもらいたいと願っている保護者が多いのか、保育士自身がもっと一人一人と見ていきたいのか、これは大変興味深い結果が出ました。

ちなみに、日本の保育士のストレスに感じている項目は「事務的な作業が多すぎる」「人員不足や園運営の財源不足」です。

国によって、保育士が抱えるストレスに差があるのは、国がどれだけ幼児教育への支援が関係しているのが見えてきます。

日本も早く幼児教育への支援や財源を確保してくれるように願いたいです。

幼児教育 保育士の養成や研修

幼児教育の保育士の養成や研修

ここで、保育士の学歴、養成期間、研修についてみていきます。

この調査で浮き彫りになったのは「日本は4年制大学卒業した学士といわれる保育士が、世界に比べて非常に少ない」ということです!

日本と世界の比較をしてみますと・・・

4年制大学卒学士:短大専門学校卒(概算)
・日本は20:80
・トルコは90:10
・ドイツは80:20
・ノルウェーは70:30

となっており、世界の国々との比率が真逆の関係になっています。

また、日本における専門性向上のための研修制度の世界の比較についても調査しています。その結果をまとめると・・・

専門性向上の研修の阻害要因
・自分の不在を補う人員不足
・費用が高い
・活動スケジュールと自分のスケジュールが合わない
・時間がない

つまり、日本は保育士養成が世界と比べると質的に低く、専門性向上のための活動や研修が遅れていることがわかります。

気軽に、とはいいませんが、比較的なりやすい職業として位置づけられている保育士。日本も専門性を向上させ、より質の高い幼児教育を受けられるようにしていくべきだと感じました。

幼児教育 保育士の評価(社会、子ども、保護者からの評価)

ここでは、保育士の評価を3つのカテゴリーで紹介します。

それは、保育士が「社会から」「子どもから」「保護者から」評価されていると感じるかどうかの調査です。

ここで驚くべき結果がでました。それは・・・

日本はどの項目をとっても世界の水準より低い

つまり日本の保育士は、社会から、子供から、保護者から評価されていないと感じているのです。

子どもからの評価ですら、日本は80%未満です。社会からの評価に至っては30%程度しか、評価されていると感じていないのです。

これは保育士不足を解消するうえで、非常に根深い問題であると感じます。どれだけ給与を改善しても、待遇を改善しても、評価のされない仕事にやりがいを見出すことはできないですよね。

保育士の業務上のストレスと、評価を総合的に見ていくと、正直わりにあわないのは納得できてしまいます。

園内の設備と教育の質を外部評価されたことがない園に関しては、日本は断トツに世界一位です。

つまり、世界の幼児教育と比較して日本の幼児教育は、保育士の評価も園の評価が国や地域から認められていない、ということがわかったのです!

ちなみに冒険者ブログの内容は、Youtubeチャンネルでも解説しています。アニメーション動画で、非常にわかりやすく解説していますので、ブログを読むより頭に入るかも!?

ぜひ、動画をご覧になってください。

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【日本の幼児教育】世界と比較してわかった特徴・現状・問題点! まとめ

【日本の幼児教育】世界と比較してわかった特徴・現状・問題点! まとめ

いかがでしたでしょうか?

日本の幼児教育の現状を世界と比較することで、より鮮明に問題意識が生まれてきたのではないかと思います。

幼児教育の改革は2020年に指導要領が導入され、運用がスタートしました。

しかし、指導要領云々よりももっと大切なことが、この国際比較から見えてきたのではないかと感じます。

世界が優れている、とか、日本が遅れている、とか、そういった低次元の話ではなく、幼児教育の必要性を国家レベルで上げていかなければ、この激変する世界の情勢に日本は国レベルで淘汰されてしまうのではと感じています。

経済の発展しない国は先進国ではなく、途上国でもない、もはや衰退国として扱われていいくのではと危惧しています。

幼児教育への適切な政策を考えていかなければならない時期に来ているのではと思います。

最後まで読んで頂きまして、ありがとうございました。他にも色々な幼児教育の記事を書いていますので、リンク先の記事で興味があれば、ぜひご覧ください!

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